The 25th Niijima International Glass Art Festival

BLOWING

クレア・ベルフラージュ

氏は自然の些細な万象に触発されて、吹きガラスの表面に細い糸状のガラスを使って複雑な線形パターンを描画する作品で広く知られ、25年以上に渡り創設メンバーとしてブルーポニー工房やアデレードのジャムファクトリーガラス工房で精力的に活動して来ました。現在はクリエイティブ·ディレクターとしてキャンベラグラスワークス工 房のアーティストコミュニティで働いています。教育現場にも長く携り、カーティン大学や南オーストラリア大学や米国のオハイオ州立大学やピルチャックグラススクールなど国内外で様々なワークショップを行なっています。氏はオーストラリアの他北米、ヨーロッパ、香港、ニュージーランドで作品を定期的に発表していますが、その革新性と独創性を評価され、2005年と2011年の二度トム·マローングラス賞を受賞しています。作品はキャンベラのナショナル·ギャラリー、ワガワガの国立新美術館、米国コーニングガラス美術館 タコマガラス美術館、ポルトガルのマリーニャグランデガラス美術館のガラスコレクションを始め、アートバンク、西オーストラリア州の美術館と博物館、タスマニア州ノーザンテリトリー博物館のアートギャラリーなど所蔵されています。

class description: 「物事の本質」

このクラスでは自然界の中の形や模様に着目し、そこからの要素や閃きをどのようにガラスに生かして行けるかに照準を合わせて、色々な模様や線を観察し、そこからドローイングと立体物を融合させる方法を模索していきます。クラス全体の活動として、美しい新島の自然の中から面白いテクスチャーや模様等を見つけて収集します。集められたものをもとにドローイングやガラスによる小さなサンプルを制作し、そこから更にアイディアを発展させ個々の作品制作に繋げて行きます。自然の中から発想を得る事に加えて、テキスタイル、陶芸、絵画、版画等からも閃きのもとを求めて行きます。受講生の皆さんは吹きガラス技法のプロセスを習得して行きます。ホットショップでは、ガラスを巻く事、マーバーをかける事、熱や工具で形を作って行く事等の基本に加えて、更に吹いた玉を丸い形から左右非対称な形へ変えて行く事を学びます。そして私の専門であるホットショップでガラスに細いガラスの線で模様を描くケインドローイングの技法も教えます。この為にストリンガーと言う細いガラス線を引き、それによって繊細な線で描く事を模索し、受講生の皆さんの各自の芸術性の発展に繋げる援助をします。透明色と不透明色、柔らかい色と固い色、複数の線と1つの線とを比較しながら、トーチを用いて描くケインドローイングの技術を学んで行きます。作業するガラスの大きさは小さめから中ぐらいに止め、模様付け等のディテールに重点を置くようにして下さい。
受講生の皆さんはデモ、1対1の指導、グループ制作課題を含むホットショップ内でのクラスの人達とのチームワーク等から学んで行きます。ディスカッションやお互いに探求している物を検証し合うのも重要な学習の一部となります。

---クレア・ベルフラージュ

BLOWING

シェーン フェロー

アメリカを代表するフレームワーキングのアーティストの1人です。ノースカロライナ州のペンランドスクールの近くにスタジオをかまえ44年間フレームワークの制作に従事しています。氏はアメリカのガラスアート協会の会長を務め、国際的なシンポジウムや講演とデモンストレーション等に招聘され参加しています。またペンランドスクール、アーバングラス、プラットファインアーツセンター、コーニングガラス美術館、ミシガン大学、ユージングラススクール、エスパスヴェール、モントリオール、ケベック、ピッツバーグガラス センター、ピルチャックグラススクール、ビルト-WERK、フラウナウ、ドイツ、ストウアブリッジ、イギリス、スクオーラBubacco、ムラーノ、イタリア、カメレオンのスタジオ、タスマニア州、オーストラリア、瀬戸、大阪そして新島ガラスアートセンターなど多数の教育機関でワークショップ等の指導を行なっています。氏の作品は世界中の民間や公共施設に収蔵されています。

class description:「炎からの形:フレームワークの概観」

このクラスでは、まずムクのロッドを用いて人体、動物、鳥類、海洋生物、植物、その他自然界や夢想の世界の住人達等を炎によって作って行きます。それと平行し、チューブを用いて引っ張りながらポイントを作る、花器、ボトル、ゴブレット等の制作に必要な吹いて口を開く事にも取り組んで行き、それに取手や造形的な部分を接合させる事にも取り組みます。その他に中空のスカルプチャーやビーズやジュエリーも網羅します。そして、最終的にはこれら全てのテクニックを統合してミクスドメディアのインスタレーションを色々な収集物と共に構成し、個人的で観念的な表現を具現化して行きます。美しい新島の雰囲気を我々のインスピレーションの糧としましょう。具体的な内容としては、ボロシリケートとソーダガラスの両方を使用し、更にパワーポイントによるプレゼンテーションを通してこの技法の歴史的な背景にも触れて行きます。

---シェーン フェロー


ARTIST IN RESIDENCE

ワタビキ アキヒロ (綿引 明浩)

氏は東京藝術大学美術学部を首席で卒業、1999年頃より、クリアグラフと名付け平面なのに独特な奥行きと豊かな色彩が生まれる独特な作品を創作しています。2002-3年には文化庁芸術家・海外派遣研修生としてスペインに滞在。2006年から主に人間と擬人化した動物や魚たちを銅版 (キャスト)で制作し、それぞれを切り取り、組み合わせて舞台の上に配置するような独創的世界の作品を銅版画やクリアグラフで制作しています。

メッセージ

これまでに様々なメディアを使って作品を発表して来ましたが、今回はガラスという新たな挑戦をする機会を得る事が出来て、本当にワクワクしています。 僕の作家としてのスタートは銅版画でした。大学の版画工房で仲間とともに朝から夜まで制作に明け暮れた日々、それは素晴らしい思い出として胸に残っています。自分のアトリエでの時間がほとんどとなった今では、今回の新島ガラスアートセンターでの制作は、自分にとっての本当に久しぶりの工房仕事となります。これからの僕の発想にとって、この貴重な体験は確かな刺激を与えてくれると信じています。 そして、新島でのもうひとつの大きな意味。それはガラスという素材が、オリジナル技法であるクリアグラフとどう出会い、どう融合するのかという期待です。クリアグラフとは、透明アクリル板の裏から描き、それを何層にも組み合わせたりして、独特の奥行きと透明感を生む絵画技法で、僕がそう名付けました。アクリル板は糸ノコで切ったり接着したりと、ある程度思い通りに出来ますが、ガラスは全く勝手が違います。しかし、優秀なギャッファーの方とのコラボレーションによって生み出される作品は、クリアグラフでは表現できない、新鮮な何かを魅せてくれる筈です。期間中、クリアグラフのワークショップも開催されるので、ふたつのメディアの違いや共通点などを見つけながら、ぜひ皆さんと楽しい時を過ごせれば思っています。

--- 綿引 明浩

HOME
SCHEDULE
CLASS
DIARY
STAFF