氏は自然の些細な万象に触発されて、吹きガラスの表面に細い糸状のガラスを使って複雑な線形パターンを描画する作品で広く知られ、25年以上に渡り創設メンバーとしてブルーポニー工房やアデレードのジャムファクトリーガラス工房で精力的に活動して来ました。現在はクリエイティブ·ディレクターとしてキャンベラグラスワークス工 房のアーティストコミュニティで働いています。教育現場にも長く携り、カーティン大学や南オーストラリア大学や米国のオハイオ州立大学やピルチャックグラススクールなど国内外で様々なワークショップを行なっています。氏はオーストラリアの他北米、ヨーロッパ、香港、ニュージーランドで作品を定期的に発表していますが、その革新性と独創性を評価され、2005年と2011年の二度トム·マローングラス賞を受賞しています。作品はキャンベラのナショナル·ギャラリー、ワガワガの国立新美術館、米国コーニングガラス美術館 タコマガラス美術館、ポルトガルのマリーニャグランデガラス美術館のガラスコレクションを始め、アートバンク、西オーストラリア州の美術館と博物館、タスマニア州ノーザンテリトリー博物館のアートギャラリーなど所蔵されています。
---クレア・ベルフラージュ
アメリカを代表するフレームワーキングのアーティストの1人です。ノースカロライナ州のペンランドスクールの近くにスタジオをかまえ44年間フレームワークの制作に従事しています。氏はアメリカのガラスアート協会の会長を務め、国際的なシンポジウムや講演とデモンストレーション等に招聘され参加しています。またペンランドスクール、アーバングラス、プラットファインアーツセンター、コーニングガラス美術館、ミシガン大学、ユージングラススクール、エスパスヴェール、モントリオール、ケベック、ピッツバーグガラス センター、ピルチャックグラススクール、ビルト-WERK、フラウナウ、ドイツ、ストウアブリッジ、イギリス、スクオーラBubacco、ムラーノ、イタリア、カメレオンのスタジオ、タスマニア州、オーストラリア、瀬戸、大阪そして新島ガラスアートセンターなど多数の教育機関でワークショップ等の指導を行なっています。氏の作品は世界中の民間や公共施設に収蔵されています。
---シェーン フェロー
氏は東京藝術大学美術学部を首席で卒業、1999年頃より、クリアグラフと名付け平面なのに独特な奥行きと豊かな色彩が生まれる独特な作品を創作しています。2002-3年には文化庁芸術家・海外派遣研修生としてスペインに滞在。2006年から主に人間と擬人化した動物や魚たちを銅版 (キャスト)で制作し、それぞれを切り取り、組み合わせて舞台の上に配置するような独創的世界の作品を銅版画やクリアグラフで制作しています。
メッセージ
これまでに様々なメディアを使って作品を発表して来ましたが、今回はガラスという新たな挑戦をする機会を得る事が出来て、本当にワクワクしています。 僕の作家としてのスタートは銅版画でした。大学の版画工房で仲間とともに朝から夜まで制作に明け暮れた日々、それは素晴らしい思い出として胸に残っています。自分のアトリエでの時間がほとんどとなった今では、今回の新島ガラスアートセンターでの制作は、自分にとっての本当に久しぶりの工房仕事となります。これからの僕の発想にとって、この貴重な体験は確かな刺激を与えてくれると信じています。 そして、新島でのもうひとつの大きな意味。それはガラスという素材が、オリジナル技法であるクリアグラフとどう出会い、どう融合するのかという期待です。クリアグラフとは、透明アクリル板の裏から描き、それを何層にも組み合わせたりして、独特の奥行きと透明感を生む絵画技法で、僕がそう名付けました。アクリル板は糸ノコで切ったり接着したりと、ある程度思い通りに出来ますが、ガラスは全く勝手が違います。しかし、優秀なギャッファーの方とのコラボレーションによって生み出される作品は、クリアグラフでは表現できない、新鮮な何かを魅せてくれる筈です。期間中、クリアグラフのワークショップも開催されるので、ふたつのメディアの違いや共通点などを見つけながら、ぜひ皆さんと楽しい時を過ごせれば思っています。
--- 綿引 明浩